公開 2026.10.17更新 2026.10.17
먹 Meok|Alloを松煙墨で染める
織布とニットに仕上げたAlloを、染色作家YUSUが韓国で松煙墨に染める。顔料としての墨の性質と、構造に応じて変える染色・乾燥・柿渋仕上げを記録します。
前回までは、Alloが植物から繊維となり、手紡ぎを経て織布とニットへ仕上がる工程を紹介しました。
今回は韓国・流水YUSUの工房を訪れ、먹 Meok 松煙墨シリーズの染色と仕上げを記録します。
流水YUSUとAllo
流水YUSUは、松煙墨や柿渋などの自然素材を用い、染色と縫製を中心に制作するアーティストです。韓国の古いmosi(모시/苧麻)を染めた暖簾をはじめ、オブジェ制作や籠の染色などを手がけています。

工房では、ネパールのGundriも作業用の敷物として活用いただいています。染色を重ねた墨跡が表面に残っています。
Alloと苧麻はいずれも靭皮繊維で、染液を含みやすい素材です。また、織布とニットで構造が異なるためそれぞれに合わせて工程を調整します。
松煙墨による染色

松煙墨の黒を生む煤は、微細な顔料です。染色前にAlloを重曹で洗浄し、繊維を柔らかく整えて墨を定着しやすい状態にします。


松煙墨を加えた染液を80〜90度まで温め、Alloを浸します。生地を手で動かしながら墨を全体へ行き渡らせます。温度が上がると、焚き火を思わせる木の香りがほのかに立ちます。

染色後は強く絞らず、折り畳んで静かに押しながら余分な液を除き、色ムラを防ぎます。
織布とニットの乾燥

織布はフリンジを櫛で整えてから吊るします。布を直接クリップで挟むと跡が残るため、端にまち針を通し、その針を固定します。


乾燥中は染液が下方へ移動するため、余分な水分を取り除いて色差を抑えます。

ニットは韓紙の上で平干しします。自重による伸びを防ぎ、余分な水分と墨を吸わせながら乾燥させます。
水洗いと柿渋
乾燥後は水洗いし、定着しなかった墨を落とします。再び乾燥させ、柿渋で後処理を行います。柿渋に含まれるタンニンにより黒に深みを加え、墨の定着を補います。

最後に水洗いと乾燥を重ねます。織布はフリンジを整え、余分な繊維を切り、アイロンで仕上げます。
使用する松煙墨は、韓国の墨匠・韓相黙氏によるものです。次の記事では、松を燃やして煤を集め、膠と合わせて墨へ仕上げる工程を紹介します。







